こどもの病気について
鼻が汚れていると中耳炎の原因になったり、鼻水がのどへ流れこんで痰のからんだ咳の原因になったりします。鼻の状態を良くしておくことで中耳炎の予防や、咳の原因が鼻水ののどへの流れ込みである場合は咳の改善が期待できます。鼻水がつらそう、咳が出ている、耳に違和感がありそうなど、どんなことでもご相談ください。
お子様によくある症状
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耳
- 耳を痛がる
- 耳だれがでている
- 大きい音でテレビを見る
- ちゃんと聞こえているか
分からない - 耳あかがたまっている
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はな
- 鼻水が出る
- 鼻水が汚れている
- 鼻が詰まっている
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のど
- 咳が出る
- 痰が出る
- のどを痛がる
- 扁桃腺が大きい
- 大きないびきをかく
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摂食・嚥下
- 食べるのが遅い
- 噛まない
- 小食
お子様に多い疾患
- 急性中耳炎
- 滲出性中耳炎
- アレルギー性鼻炎
- 副鼻腔炎
- 急性扁桃炎
- 溶連菌咽頭炎
- 扁桃肥大
- アデノイド増殖症
2歳未満の子ども、特に保育園児は鼻水を出しやすいものです。
免疫系が未熟であることや初感染のウイルスが多いことから鼻汁が持続することもあります。鼻汁はウイルスを排出させる生理的な機能であり、お熱がなく、授乳・お食事ができていてよく眠れていれば経過をみて治まるのを待ってもよいでしょう。
しかし、ばい菌に感染した鼻汁が鼻にたまっていたり、耳に流れ込むようになったりすると、副鼻腔炎や中耳炎などにつながることもあります。こまめに鼻吸いをすることで予防になりますので、「たかが鼻水だけで…」と思わず、お気軽に受診してください。
当院では再診で予約時に「鼻吸いのみ希望」とあれば、なるべく待ち時間を短くできるようにしています。
当院での鼻吸引について
0歳の赤ちゃんから鼻吸いができます。お鼻の小さいお子様でも対応できるよう、吸引管は素材や大きさを各種取り揃えていますので、痛い思いをせず、しっかり鼻吸いできます。可能なお子様にはシリコン製の細長い吸引管を用いて、さらにすっきり吸うこともできます。
家庭用の吸引器でなかなかうまく吸えないご経験のあるおうちの方は多いと思います。耳鼻咽喉科だからこそできる、痛くない、怖くない、奥までしっかり吸ってすっきりする鼻吸いができますので、鼻吸いだけでもお気軽に受診してください。
近年、低年齢のアレルギー性鼻炎が急増しています。
持続的なウイルス感染・細菌感染・アレルギーによる鼻炎または副鼻腔炎か、または合併しているかをしっかり判別・鑑別することが大切ですので、必要に応じて各種検査(アレルギー検査、鼻汁好酸球検査、細菌培養)を行い治療していきます。
くわしくは、「アレルギー・花粉症」をご覧ください。
急性中耳炎
お子様はおとなと比べ耳管が太くて短く、鼻からのばい菌が中耳腔に流れやすいため、急性中耳炎をおこしやすいです。起炎菌としては肺炎球菌やインフルエンザ菌、次いでモラキセラ・カタラーリスの頻度が高いです。症状として、発熱、耳痛、耳だれをきたします。
抗菌薬の内服を行いますが、なかなかよくならない場合は、抗菌薬の点滴や鼓膜切開が必要となる場合もあります。
滲出性中耳炎
治療は鼻・副鼻腔炎の内服治療や鼻ネブライザーや鼻汁の吸引を行って、鼻咽腔の状態の改善に努めます。また中耳腔にたまった貯留液の排出を促す薬の内服を行ったり、鼻から中耳腔に空気を送る通気処置を行います。それでも滲出性中耳炎の改善が乏しく、聞こえにくさが続いていたり、鼓膜のへこみが大きい場合には鼓膜に換気チューブを挿入する手術的処置が検討されます。鼓膜換気チューブにより中耳腔に空気が入って聞こえがよくなり、また鼓膜のへこみ進行の防止も期待できます。
もともと人間には、耳垢を耳の奥から入口まで押し出す自浄作用があります。
そのため、耳そうじはしょっちゅうする必要はなく、月に1回程度耳の入り口1㎝くらいまでを綿棒で優しくふき取るお手入れで十分です。
耳そうじをしすぎるとむしろ耳垢を奥に押し込んでしまうことになり、奥に溜まった耳垢は自分では取れません。耳の痛み、かゆみの原因にもなります。
家庭での耳そうじが難しい場合は、無理せず耳鼻咽喉科を受診してください。
出生時聴覚スクリーニング検査では異常がなくても、成長に伴い聞こえの不具合が出てくることがあります。「何か音が鳴っている」ことは分かっていても、「具体的に何をしゃべっているか」となると聞きこぼしが出てきます。
- 音がするのはわかる!
- 音がするのはわかるけど、
何を言ってるかはわからない
乳幼児健診や学校健診で精密検査になった場合だけでなく、「大きい音で動画を見たがる」「話していることが分かっていなさそう」「発語がはっきりしない」など気になることがある場合は、聞こえの検査を受けてみるのがおすすめです。
当院の聴力検査
広い聴力検査室ですので、一人では検査室に入るのを嫌がるお子様でも、おうちの方と一緒に入っていただけますので、安心して検査を受けられます。ヘッドホンをつけてのボタン押し検査がまだ難しい小さなお子様の場合は、耳にブローブをあてるのみで、ある程度まで聞こえているかを推定できる他覚的な聴力検査機器(DP-OAE)を用意しています。DP-OAEで良好な結果が出ない場合やどうしても当院での検査が難しい場合は、脳波の検査(聴性脳幹反応:ABR)ができる医療機関をご紹介させていただきます。
集団生活をされているお子様は、とにかく感染症にかかりやすいです。
対処療法でよくなるものもあれば、抗菌薬などが必要な疾患もありますので、的確な診断が大切です。
当院ではアデノウイルス、溶連菌咽頭炎、インフルエンザ、コロナウイルスなど複数の感染症を早期に高感度で検査することができますので、症状が悪化する前にぜひお越しください。
お子様はお薬があまり好きではないので、なかなか飲んでくれずにお困りになるおうちの方もいらっしゃるでしょう。甘いシロップがいい、ゼリーと一緒に飲み込ませるので粉末がいいなど、お薬のご要望があれば、お気軽におっしゃってください。
代表的なアレルギーの病気は、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎があります。特に近年学童期以降のアレルギー性鼻炎が増加しています。まずは原因を正しく突き止め、ご本人の症状に合わせた治療を選択することで症状が和らぎ、日々の生活が格段に快適になります。
当院では1歳から指先からの少量の血液で多種類のアレルギー検査ができます。食物アレルギーの場合は、食物アレルギー分野管理栄養士が丁寧にサポートさせていただきます。
各種アレルギーについての詳細は、「アレルギー・花粉症」をご覧ください。
お子様の嚙む力・飲み込む力は出生体重、発育歴、全身の発達状況、環境、性格などに大きく左右されます。ほとんどの場合は、身長体重の増加と全身の発達に伴い、自然と食べられるものの幅が広くなっていきます。しかし、お子様の力と食べ物の形状が合っていないこともありますし、食べる時の姿勢や食べさせ方を工夫することで見違えるほど食べられるようになることもよくあります。
「離乳食の進め方が分からない」「丸飲みしている」「噛んでいるか分からない」「食べるのが遅い」「やわらかいものしか食べられない」などの症状があれば、お気軽にご相談ください。
当院には管理栄養士がいます
当院の管理栄養士は母子保健分野に長く従事しており、乳幼児健診、離乳食教室、幼児の食育教室、療育教室、小学生料理教室など、「実際に食べて体験してもらう」ことを大切にした食支援経験が豊富です。
おうちの方のお気持ちに寄り添い、お子様の状況や個性に合わせてご相談に応じますので、お気軽にお声かけください。
食物アレルギー分野管理栄養士、摂食嚥下リハビリテーション学会員であり、学会等の発表事例も多数あります。